珍 品
月山貞勝

 

No.E00004

共箱・二重箱 - 月山貞勝筆

     売 約 済

全長 : 36.4cm   横幅 : 3.3cm  厚さ : 1.9cm 重さ : 980g

画題

菊水紋・忠孝文字図

: 大阪府

時代 : 現代 昭和十一年 1936年

鑑定書

 

昭和十一年三月吉日 刀匠 月山貞勝謹作(花押)

為藤村家

材質

親骨-鉄磨地 肉彫 文字陰刻 小骨-真鍮地

説明

 鉄扇は扇子の一種であるが、通常の扇子が骨の材質に木や竹を用いるのに対し、鉄を用いる点が大きな違いとなっている。骨のみが鉄製で紙や布などを張ったもの、鉄の短冊を重ねたもの、また、扇子の形を模しただけで実際には開かないものがある。

 古来より武術のひとつにあり、護身用の武器、鍛錬用などとしても使用された。新選組の初代筆頭局長である芹沢鴨は、常に「盡忠報國の士、芹澤鴨」と刻まれた鉄扇を手にしていたという。また、西郷隆盛は鉄扇仕込みの外装に村正の短刀を忍ばせていたなどの逸話がある。

 本作は、近代を代表する刀工のひとりである月山貞勝の世にも珍しい鉄扇である。よく鍛えられた良質な鋼を用い、実際には開かない細部まで入念に造り込まれている。約70年前に製作されたものであるが、鉄の磨地に程よく錆がのり美しい鉄色となっている。表に「忠孝」の二字が陰刻、裏には「菊水紋」が肉彫され、月山貞勝は彫技も巧みであり、さすがに鏨がよくきいている。日本における第一の忠孝の士といえば、後醍醐天皇に忠誠を尽くした楠木正成公(大楠公)であり、本作の彫物はそれをあらわしている。月山貞勝は、天皇陛下より楠木正成公を祀った湊川神社の奉納刀の製作を命じられた経緯もあり、作品には、刀剣にも菊水紋・「忠孝」の文字を彫ったものがまま経眼される。

 余談ながら、戦前から靖国神社(東京都千代田区)と湊川神社(兵庫県神戸市)は「東の靖国・西の湊川」と並び称されている。靖国神社では、宮口靖広・梶山靖徳・池田靖光らが主に陸軍に刀剣を供給し、一方、湊川神社では、「忠孝」からそれぞれ一字を受けた村上正忠・森脇正孝らが海軍に刀剣を供給していた。現在では、靖国神社で鍛えられた刀を「靖国刀」、湊川神社で鍛えられ刀を「菊水刀」と呼称される。

備考

月山貞勝自筆の共箱が附帯している。

「鐵扇 壱本」

「一 為藤村家 刀匠 月山貞勝(落款) 昭和十一年三月吉日」

 

全体に小錆があります。小骨部分にも小錆がみられます。

鉄扇は開閉しません。

月山貞勝1
月山貞勝2
月山貞勝3
月山貞勝4
月山貞勝5
月山貞勝6
月山貞勝7
月山貞勝8
月山貞勝9
月山貞勝10

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