之定

特別保存刀剣 NBTHK Tokubetsu Hozon Paper

No.A00409

白鞘 田野辺探山先生鞘書 銀無垢一重ハバキ

      売 約 済

刃長 : 63.4cm  (2尺0寸9分) 反り : 1.2cm  (4分)

元幅 : 3.0cm 先幅 : 2.0cm 元重 : 0.6cm 先重 : 0.45cm

登録証

福岡県教育委員会

昭和26年05月01日

: 美濃国 (岐阜県-南部)

時代 : 室町時代後期 永正頃 1505-1520年

鑑定書

(公)日本美術刀剣保存協会

特別保存刀剣鑑定書

平成27年03月26日

兼定

形状

 

刃文

 

帽子

彫物

鎬造、庵棟、身幅広めに、重ね尋常、元先の幅差ややあり、先反りつき、中鋒わずかに延びる。

板目よく錬れて、処々柾がかり、地沸よくつき、地景入り、白け映りたつ。

小のたれ調に互の目・小互の目、互の目丁子・尖り刃など交じり、足入り、匂勝ちに小沸つき、金筋入り、砂流しかかる。

直ぐに小丸に返り、先掃きかける。

表:珠追い龍、裏:梵字・独鈷を肉彫する。

磨上げ(約2.0cm)、先栗尻、鑢目鷹の羽、目釘孔二。

説明

 和泉守兼定(之定)は孫六兼元と並んで室町時代後期の美濃鍛冶を代表する刀工で、「定」の字のウ冠の中を「之」と切ることから「ノサダ」と称され、一般に三代といわれる「疋定(ヒキサダ)」と区別されている。しかし、「古刀銘集録」に「同二代目和泉守藤原ト打 明応年号切 定ノ字体真ニシテ多関住作打 永正ノ初ヨリ如此之ノ字切 故ニ之定ト唱」とあり、初めは定の字を楷書で切った事がわかる。そして、「ノサダ」銘に転化したのは永正の初めというが、現存する作刀からすれば、明応8年11月以降で同9年8月以前とするのが正しい。兼定(之定)は古刀期にあって珍しく受領「和泉守」を許された刀工で、多くの刀剣書は「すぐれたる上手」と述べている。兼元の「三本杉」と称せられる尖り刃主調の乱れ刃に対して、兼定(のさだ)は丸い互の目・のたれ・互の目丁子などを交えた刃文を焼いて変化があり、鍛えがよく錬れて優れるのも特色である。

 本作は、磨上げながら、身幅広めに、先反りがつき、地鉄がよく錬れて、柾がかり、淡く映りがたち、よく冴えて潤いが感ぜられる。刃文は、互の目に、兼定(のさだ)特有の三つほど連なる互の目丁子を交え、匂勝ちの小沸がつき、金筋・砂流しかかり、匂口が明るく冴えている。帽子は直ぐに小丸風となる。彫物は後世の後刻となるが美観を損なうほどではない。銘は二字銘で「兼定(之定)」となり、大振りでいかにも堂々としている。「之」の字の二画目にアタリがみられるのは後期銘になるが、この頃は「和泉守兼定」と切るのが多く、二字銘は珍しい。兼定の作風を顕著にあらわした優品で、地刃ともによく冴えわたっている。

備考

古刀最上作

最上大業物

 

田野辺探山先生鞘書

「濃州関和泉守兼定 二字銘有之 同工が得意トスル丸ヒ互乃目ヲ主調トスル乱ヲ焼キ典型而且ツ出来宜矣 加ヘテ銘モ同工ノ個性的字形ヲ表示セリ

刃長 二尺九分余有之 時季甲午極月 探山辺道識(花押)」

之定
之定

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