下坂貞次

保存刀剣 NBTHK Hozon Paper

No.A00315

白鞘  銀無垢一重ハバキ

     売 約 済

刃長 : 59.4cm  (1尺9寸6分) 反り : 1.6cm  (5分)

元幅 : 3.3cm 先幅 : 2.4cm 元重 : 0.7cm 先重 : 0.45cm

登録証

県教育委員会

昭和32年03月14日

: 越前国 (福井県-北部)

時代 : 江戸時代前期 寛永頃 1624-1643年頃

鑑定書

(公)日本美術刀剣保存協会

保存刀剣鑑定書

平成14年06月07日

越前国住源貞次(「住源」の二字は「下坂」の改鏨)

形状

 

刃文

 

 

帽子

鎬造、庵棟、身幅広く、重ね厚めに、元先の幅差ややあり、先反りつき、中鋒延びごころとなる。

板目に杢交じり、肌立ちごころとなり、地沸つき、地景入り、かね黒みがかる。

丁子乱れを主調に互の目・尖りごころの刃などが交じり、上半焼き幅を広め、足長くさかんに入り、匂深く、沸よくつき、総体に砂流しかかり、金筋細かに入り、匂口沈みごころとなる。

焼深く、直ぐに丸く、先掃きかける。

生ぶ、先入山、鑢目筋違、目釘孔二。

説明

 初代:下坂貞次には年紀のあるものは未見であるが、その作風や銘振りから鑑て、おそらく慶長を下らぬ刀工と思われる。同作には、初代:越前康継同様に見事な記内彫が施されているものや、初代:康継の後援者でもあった本多飛騨守成重の立葵紋をきったものがあり、さらに、初代:康継と同じく、「重胴及度々末世剣是也」の添銘のあるものなども見られることに加えて、初代:康継の下坂銘に同工の銘振りが近似していることなどから、初代:康継の有力な側近の一人であったと考えられ、また初代:康継同様に彼も成重の贔屓の刀工であったろう事が推量される。彼の作風は、数多い越前刀工群の中でも、丁子が目立って入るところにその見どころが窺える。

 本作は、丁字乱れを主調に互の目・尖りごころの刃等を交えて、足長くさかんに入り、匂深く、沸よくつき、総体に砂流しかかり、金筋が細かに入るなどの作域で、丁子主調の乱れ刃となっており、初代:下坂貞次の特色をみせている。また、板目に杢が交じり、肌立ちごころとなった鍛えは黒味を帯びており、焼刃の匂口が沈みごころとなっている点などには、下坂派の特徴があらわれている。

 銘字の改鏨については、徳川家に祟るものとして妖刀視された村正を「正広」「正宗」「村忠」「村宗」「正」等としたものが有名となっている。他には、越前国下坂派の「下坂」を「下り坂」、武蔵国下原派の「下原」を「下腹」すなわち「切腹」を意味するとして嫌ったものや、山城国埋忠派の「埋忠」が「忠を埋める」として「梅忠」に改鏨されたものなどが稀に経眼される。これらのような駄洒落的な要素の好尚も、江戸期の武士にとってはきわめて現実的な風潮の反映であったようであり興味深い。補足するならば、下坂派は藤原姓を用いるのが通例なのに対し、源姓に改鏨する点などは稚拙な感は否めず、あまり悪意は感じられない。

備考

新刀 上作。

 

指表:中程、指裏:ハバキ元などにわずかに小傷・鍛え割れがみられます。

下坂貞次1
下坂貞次2
下坂貞次3
下坂貞次4
下坂貞次5

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