榎本貞吉

無鑑査 Mukansa

No.A00286

白鞘  金着一重ハバキ

     売 約 済

刃長 : 74.2cm  (2尺4寸5分) 反り : 2.2cm  (7分)

元幅 : 3.1cm 先幅 : 2.4cm 元重 : 0.8cm 先重 : 0.5cm

登録証

神奈川県教育委員会

昭和50年01月10日

: 静岡県

時代 : 現代 昭和49年 1974年

鑑定書

伊豆国住湧水心貞吉作之(榎本貞吉)

昭和甲寅年五月日

形状

 

刃文

 

 

帽子

彫物

鎬造、三ツ棟、身幅広め、重ねやや厚く、寸延びて、先反りつき、中鋒延びごころとなる。

板目、大杢を交え、処々柾がかり、肌立ちごころに、地沸厚くつき、地景太く入る。

小のたれ調に互の目・小互の目など交じり、乱れ、足長くよく入り、沸強くつき、処々叢だち、総体に刃肌にからみて、金筋・砂流しかかり、刃縁に打ちのけ・湯走り・飛焼など交える。。

小さく乱れ込み、小丸に返り、先掃きかける。

表裏に棒樋を掻き流す。

生ぶ、先栗尻、鑢目筋違、目釘孔一。

説明

 榎本貞吉刀匠は、本名を榎本貞市といい、明治41年に徳島県生まれ、昭和3年、大阪の月山貞勝に師事する。昭和18年、静岡県三島市に移住し、清らかな水が豊かに湧き出す同地に由来するものであろうか「湧水子」、晩年には「湧水心」と号す。新作名刀展において数多くの入選を経て、平成8年に無鑑査に認定される。名工揃いの月山貞勝門においても人間国宝の高橋貞次、月山貞一とは同門であり、鍛えの名人としてその評価が高く、高橋貞次とは、「彫りの貞次、鍛えの貞吉」と並び称された。平成12年、92歳で歿している。作風は、師である月山貞吉の綾杉肌をよく継承し、地鉄のよく錬れた、沸の強い相州伝を得意とする。

 本作は、身幅広く、重ね厚く、長さがあり、頃合にそりがつき、中鋒が延びた南北朝時代を彷彿とさせる豪壮なる姿を呈している。鍛えはさすがに榎本貞吉刀匠であり、板目に、大慶直胤の渦巻き肌風の大杢目を交え、地沸が厚くつき、地景太く入り、相州伝特有のよく錬れた軟らかい様相となる。刃紋は、互の目出来にて、刃が肌に絡み、金筋・砂流しなどをさかんに交えた激しいものとなり、沸の強さと相俟って迫力ある相州伝をあらわしている。榎本貞吉刀匠が46歳の作品で、保存状態が些か残念ではあるが、相州伝の頼めしめる一振りである。

備考

無鑑査

 

全体に細かなヒケがあり、数ヶ所に小錆があります。

物打ちに僅かに刃こぼれがあります。

榎本貞吉1
榎本貞吉2
榎本貞吉3
榎本貞吉4

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