無鑑査 Mukansa |
No.A00250 |
白鞘 金着一重ハバキ |
売 約 済 |
刃長 : 78.6cm (2尺5寸9分) 反り : 1.8cm (6分) 元幅 : 3.2cm 先幅 : 2.45cm 元重 : 0.8cm 先重 : 0.6cm |
登録証 : 東京都教育委員会 昭和51年12月09日 |
国 : 東京都 時代 : 現代 昭和51年 1976年 |
鑑定書 : |
銘 : 酒井一貫斎繁政彫同作 昭和丙辰閏年三月吉祥日 |
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形状 :
鍛 : 刃文 : 帽子 : 彫物 :
茎 : 鎬造、庵棟、身幅やや広く、重ね厚く、長寸にて、反り浅くつき、大鋒に結ぶ豪壮なる姿を呈す。 板目、処々ながれ、地沸つき、地景入る。 互の目・小互の目に丁子交じり、足入り、匂本位に小沸つき、細かに砂流しかかる。 焼深く、浅く乱れて、小丸に返る。 表裏に棒樋を丸留めし、表は、その下に蓮台に玉追い龍、裏は、梵字に三鈷付剣をともに肉彫する。 生ぶ、先栗尻、鑢目勝手下がりに化粧つく、目釘孔一。 |
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説明 : 酒井一貫斎繁政は、本名を酒井寛といい、明治38年、静岡市音羽町に酒井安次郎(宮口正寿の弟)の三男として生まれる。大正10年、16才で東京に出て、笠間一貫斎繁継の門に入り、約15年の長期にわたり鍛刀・彫刻を修行し、師より「繁」の一時をもらい初銘は「繁正」、後に「繁政」と銘す。昭和8年、従兄弟の宮口靖広(寿広同人)の先手として、靖国鍛錬所に入会する。昭和11年、宮口靖広、竹田定吉とともに靖国鍛錬所を退会、大倉喜七朗男爵が開設した大倉鍛錬道場に移籍する。昭和16年、東京都板橋区に独立鍛刀所を開設。同年、陸軍受命刀匠の認定を受ける。昭和19年、海軍受命刀匠の認定を受ける。昭和56年、(公)日本美術刀剣保存協会の無鑑査に認定される。師である笠間一貫斎繁継と同様に彫物を得意とする。 この刀は、2尺5寸9分(78.6cm)と長寸にて、身幅広く、帽子は大鋒となる豪壮な姿を示している。鍛えは、無地風とはならずに、板目が、やや柾が流れて、地沸つき、地景が入り、やや黒みを帯びるなどの変化に富んだものとなる。刃紋は、繁政の得意とした互の目乱れに、丁子風の刃が交じり、刃中よく働き、匂口が明るい。彫技は、さすがに師である笠間一貫斎繁継の一門だけに巧みであり、表の玉追い龍、三鈷付剣は鏨がよく効いて、濃密な彫口となっている。 繁継・繁政師弟をはじめとする一門の作品には、龍図の彫物を得意としてよく見受けられる。龍は「不動明王」の化身とされ、表には玉追い龍を、裏には不動明王が右手に持つ三鈷付剣をあらわしている。本作が製作された昭和51年(1976)は「丙辰」の「辰」であるが、奇しくも平成24年(2012)は「壬辰」の「辰」にあたり、辰年の方ならずともお奨めしたい縁起の良い龍尽くしの一振りである。 |
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備考 : 地鉄に、鍛えが強いため数ヶ所小さな鍛え割れがあります。 彫物の、龍の顔周辺に少し小錆がみられます。 指裏、梵字の辺りに少し弱い鉄があります。 |