安達義昭

 

No.A00230

白鞘  金着二重ハバキ

     売 約 済

刃長 : 76.8cm  (2尺5寸3分強) 反り : 3.0cm  (9分)

元幅 : 3.1cm 先幅 : 2.3cm 元重 : 0.8cm 先重 : 0.55cm

登録証

静岡県教育委員会

昭和61年10月22日

: 静岡県

時代 : 現代 昭和61年 1986年

鑑定書

駿河住安達義昭作

昭和六十一寅年八月日 仙寿彫 (花押)

形状

 

刃文

 

帽子

彫物

 

鎬造、庵棟、身幅広めに、重ね厚く、長寸にて、反り深く、中鋒延びごころの優美な太刀姿となる。

小板目肌よくつみ、地沸細かによくつき、地景入る。

浅くのたれて、丁子・逆丁子など交じり、小足・葉しきりに入り、匂口締まりごころに小沸つき、刃中細かに砂流しかかり、冴える。

乱れ込み小丸に返り、三作風となり、先掃きかける。

表裏に棒樋を丸留し、表:樋中の腰元に真の倶利伽羅、裏に同じく腰元に梵字・宝珠・蓮台を重ねて浮彫する。

生ぶ、先栗尻、鑢目勝手下がり化粧つく、目釘孔一。

説明

 安達義昭刀匠は、昭和21年に生まれ、若い頃に佐藤寒山先生に刀剣について指導を受ける。後に、石川県の人間国宝である隅谷正峯氏のもとで作刀技術を学ぶ。静岡県裾野市の黄瀬川の畔に鍛刀所を開設し作刀に励んだ。作風は、備前伝を得意とし、青江の逆丁子写しもある。「新作名刀展」の名誉会長賞など多数の受賞があるが、残念ながら若くして没している。刀匠でありながら、刀剣の鑑識眼もあり、且つ、大の酒豪であった。作品は極めて少なく自分で満足のいくものしか世に出さない性格からであろう。

 この太刀は、安達刀匠の晩年作で、備前長船景光の名物「小竜景光」のオリジナルを写した優品である。彫物は、柳村仙寿師により入念な彫技が施された力作となっている。備前長船景光の代表作「小竜景光」は、元来は2尺6寸7分ほどの太刀を約2寸5分磨上げ、2尺4寸3分9厘となっており、磨上げによって竜がハバキ上に覗いて見られることから一名「覗き竜景光」とも称せられる。本作はオリジナルを想定して2尺5寸3分強にて、表の真の倶利伽羅は本歌に近いが、裏の彫物はわずかに変えている。

<小竜景光について>

鎌倉後期の備前長船三代左兵衛尉景光の作。小竜景光、覗き竜景光、楠公景光。

刃長 : 73.9cm  (2尺4寸3分9厘) 反り : 3.0cm  (1寸弱)

元来は2尺6寸7分のものを約2寸5分程磨上げ

倶利伽羅の彫物から「小竜景光」と呼称され、また磨上げによって竜がハバキ上に僅かに覗いて見られることから一名、「覗き竜景光」とも、また一説に楠正成の佩刀と伝えられることから「楠公景光」とも称せられて棋界に名高く、備前景光の最高傑作である。

伝来については、幕末に山田浅右衛門の手により突如世に出て、楠正成より豊臣秀吉というのは浅右衛門による捏造である。浅右衛門の孫が井伊家に仕官した際に御礼として献上され、後に再び同家に戻る。井伊家に上る前後の弘化4年と文久2年に固山宗次がそれぞれ生ぶの姿に復元した写しと磨上げの態の写しを製作している。明治6年、山田家より大久保一翁の手を経て宮内省に献上され、以来、御物となり、現在は東京国立博物館の蔵となる。国宝指定。

備考

佩裏:ハバキ元の約23cmのところにやや弱い鉄があります。

安達義昭
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