珍 品 | |
保存刀剣 NBTHK Hozon Paper |
No.A00171 |
花刀拵 金鍍金ハバキ |
売 約 済 |
刃長 : 25.4cm (8寸7分) 反り : 1.0cm (2分半) 元幅 : 3.0cm 元重 : 0.7cm |
登録証 : 東京都教育委員会 平成21年05月12日 |
国 : 武蔵国 (東京都・埼玉県・神奈川-東部) 時代 : 江戸時代後期 安政頃 1854-1859年頃 |
鑑定書 : (公)日本美術刀剣保存協会 保存刀剣鑑定書 平成16年12月21日 |
銘 : (無銘) 次郎太郎直勝 |
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形状 : 鍛 :
刃文 :
帽子 : 彫物 :
茎 : 表:切刃造、裏:平造、丸棟、身幅尋常、重ね厚く、浅く反りつく。 表は横鑢をかけ、裏は、小板目に、杢を頻りに交え、渦巻き肌状となり、地沸厚くつき、地景入る。 広直刃を基調に、足よく入り、棟方よりも同様の刃文を焼き、匂深く、沸づき、刃肌にからみて、金筋・砂流しさかんにかかり、皆焼状となる。 大丸にて、返り深く焼き下げ棟かたの焼き刃に繋ぎ、皆焼状となる。 表:薙刀樋に添樋を丸留めし、全体に横鑢をかけ、「何事ぞ 花見るひとの 長かた奈」の句を流暢な草書にて陰刻する。裏:腰元に素剣を肉彫する。 生ぶ、先切(尻をつまむ)、鑢目筋違に化粧つく、目釘孔一。 |
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拵 : 金具 : 花刀拵 総長 : 38.0cm 赤銅磨地、沙綾紋金象嵌 鉄地、唐草紋銀布目象嵌 |
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説明 : 次郎太郎直勝は、大慶直胤の門人で、のちにその養子となり、上州館林の秋元家に仕え、江戸下谷に住した。はじめ上総太郎といい、のちに次郎太郎と称している。彼の歿年は、師父:直胤が歿した翌年の安政5年7月22日であり、享年54歳と伝えている。直勝は、水心子一門で大慶直胤・細川正義に次ぐ実力者であり、また名工でもある。その作風は大別して、相州伝と備前伝とがあるが、殊に古作の景光や兼光風の作柄を示した備前伝には、直胤以上に優れたものがある。 本作は、真に珍しい花刀で、造込みも丁寧であり、鑢も綺麗にかけられている。地鉄は、小板目肌のなかに杢を頻りに交え、地沸が厚くついており、直胤一門の相州伝には「渦巻き肌」と称せられる杢目がよく見受けられる。さらに、本作の様な杢が連続してあらわれるものは「彫り杢」と称せられ、折り返し鍛錬の際に技巧的につくった杢目であり、同様に一門に経眼される。刃文は、焼きが高く、部分的には刃・棟方の焼きが重なり、皆焼状となり、沸強く、刃肌にからみ、金筋・砂流しがさかんにかかった相州伝の優品で、生ぶ無銘となっている。 向井去来の作と伝える、「なにごとぞ はなみるひとの なががたな(何事ぞ 花見るひとの 長かた奈)」の句が流暢に陰刻され、句意は、桜の花見に長い刀を指して来たり、酔って喧嘩沙汰となり、無粋にも抜刀する乱暴者をたしなめる意味がこもっており、風雅に武張った格好はそぐわない、という意味でもある。花刀に、花と刀の句をかけて如何にも直胤風に洒落ている。花刀の作例は、大慶直胤や初代:月山貞一にあり、私見では本作の流暢な文字や洒落た感性は直勝よりも寧ろ師:直胤に近いものがある。 鞘は屋久杉であろうか、杉の柾目を細かく出し、中を入れ子にして仕上げている。塗りで杉や竹を表現している鞘は、まま見受けられるが、本物の杉の素材を使用している鞘は珍しく、且つ味がある。鯉口の金具は強度を保つために赤銅磨地に沙綾紋を金の平象嵌で仕上げ、栗型は変形で鉄地に唐草雷紋を金の布目象嵌、魚を銀象嵌で仕上げている。鞘を二箇所で鯨の髭で巻いている。柄木は鉄刀木で製作し、環は銀着、残念ながらハバキと環の間の小さな留金具、及び、環についている金具は欠落している。ハバキは金の鍍金で仕上げ味わいを出している。いかにも茶人好みの粋な拵であり、生ぶ無銘であるのも注文に依るものであろうか。 |
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備考 : 新々刀 上々作。
拵のハバキと環の間の小さな留金具、及び、環についている金具は欠落しています。 保存鑑定書の裏書きに、平成16年のものを平成21年に訂正するとあります。 |