特別保存刀剣 NBTHK Tokubetsu Hozon Paper |
No. A00088 |
白鞘 下貝金着上貝違鷹羽紋銀無垢ハバキ |
売約済 |
刃長 : 70.2cm (2尺3寸1分強) 反り : 1.4cm (5分半) 元幅 : 3.1cm 先幅 : 2.0cm 元重 : 0.7cm 先重 : 0.5cm |
登録証 : 東京都教育委員会 昭和39年11月05日 |
国 : 陸前国 (宮城県) 時代 : 江戸時代中期 寛文頃 1661-1672年頃 |
鑑定書 : (公)日本美術刀剣保存協会 特別保存刀剣鑑定書 平成17年08月17日 |
銘 : 陸奥守重実 |
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形状 :
鍛 : 刃文 :
帽子 : 茎 : 鎬造、庵棟、身幅尋常、元先の幅差つき、反り浅く、中鋒わずかに延びる典型的な寛文新刀姿を呈す。 板目、肌立ちごころに、地沸つき、地景入り、鉄色黒みがかる。 直刃調に、互の目連れて交じり、足太く入り、匂深く、沸よくつき、処々荒めの沸交じり、総体に長めに砂流しかかり、金筋入る。 焼きやや深く、直ぐに丸く返り、先よく掃きかける。 生ぶ、先刃上がり栗尻(刃方:丸みを帯び、棟方:直線的)、鑢目大筋違化粧つく、目釘孔一。 |
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説明 : 陸奥守重実は、銘鑑には、寛文頃。国不詳。とのみ記載がある。一方、陸奥守綱重なる刀工は、銘鑑には、寛文頃。陸奥。とあり、相州三代:綱広が津軽打ちのときに門下として同行し、そのまま現地にのこったのが初代:綱重であり、その二代という。この二工は「陸奥守」の官位を受領している、「藤原」姓である、「重」の字を通字としている、特徴ある刃上がり栗尻、似通った作風などの多くの共通点より同人であると推察される。当方の資料には、綱重銘の延宝2年紀、重実銘の天和3年紀を確認しており、綱重から重実にこの時期の間に改名したものと思われる。 そして、同工は、茎仕立てが刃上がり栗尻の刃方が丸みを帯び、棟方は直線的となる独特な茎尻となっている。これは和泉守兼重・上総介兼重父子と和泉守兼重の門人である長曽弥虎徹興里の初期作にもみられるものである。茎の仕立てや、刃文が互の目を1ツ、2ツ、1ツ、2ツと焼いている点、活躍年代が寛文から延宝・天和にかかる点などから上総介兼重の門人と考えるのが自然であろう。重実の作品は少ないものの、まま経眼されれる作品はいずれも上手であり、上総介兼重・虎徹興里の上作と比較しても遜色のない程である。おそらく、重実は師である上総介兼重の良き協力者として向こう槌や代作に従事した、虎徹興里における興直・興久のような存在の為、作品が少ないものと思量される。 本作は、師:上総介兼重の作風をよく踏襲し、互の目を1ツ、2ツ、1ツ、2ツと焼いた刃文が物打ちの辺りなどにみられ、沸強くつき、刃中の働きも見事であり、同工の技倆の高さが窺える。 茎の状態が少々残念ではあるものの、(公)日本美術刀剣保存協会の特別保存刀剣に認定されており、刀身の出来がそれを補って余りあるものと評価されている。 虎徹や兼重に代表される本格的な江戸新刀の魅力を十分に楽しんでいただける優品である。 |
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備考 : 新刀 中上作。 |