保存刀剣 NBTHK Hozon Paper |
No. A00042 |
(附) 黒呂色塗鞘打刀拵 白鞘 金着一重ハバキ |
売 約 済 |
刃長 : 71.4cm (2尺3寸5分) 反り : 1.8cm (6分) 元幅 : 2.8cm 先幅 : 1.9cm 元重 : 0.7cm 先重 : 0.4cm |
登録証 : 福島県教育委員会 昭和26年07月05日 |
国 : 武蔵国 (東京都・埼玉県・神奈川-東部) 時代 : 江戸時代後期 天保14年 1843年 |
鑑定書 : (公)日本美術刀剣保存協会 保存刀剣鑑定書 平成16年02月04日 |
銘 : 精良斎宗次作之 天保十四年二月日 |
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形状 :
鍛 : 刃文 :
帽子 : 茎 : 鎬造、庵棟、身幅・重ねともに尋常、元先の幅差あり、反りややつき、中鋒の延びた、太刀風の姿を呈す。 小板目肌よくつみ、杢少しく交じり、地沸よくつき、地景入り、精美な肌合いとなる。 小互の目を主調に、小丁子風の刃交じり、足よく入り、匂主調に小沸よくつき、金筋入り、砂流しよくかかり、匂口明るく冴える。 のたれ込み、小丸。先掃きかける。 生ぶ、先浅い入山形、鑢目筋違に化粧つく、目釘孔一。 |
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拵 : 鐔 :
柄 : 縁頭 :
目貫 : 黒呂色塗鞘打刀拵 総長 : 100.0cm 獅子牡丹図、竪丸形、赤銅磨地、両櫃の中に欄間透かし金色絵、無銘 高さ:8.0cm 幅:7.8cm 厚さ:4.5cm 白鮫着、黒糸菱巻。長さ:23.0cm 獅子の子落とし図、赤銅魚子地、高彫、象嵌色絵、銘:柳川直光(花押)(と銘がある) 高さ:3.9cm 幅:2.3cm 獅子牡丹図、赤銅地、容彫金色絵。 |
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説明 : 固山宗次は、享和三年奥州白河に生まれ、俗名を宗兵衛(惣兵衛)といい、一専斎、精良斎、と号し、兄に宗平・宗俊がいる。宗次の師は加藤綱英と伝えられているが、その作風から勘案すれば、むしろ加藤綱俊の影響力が大きいものと思われる。初めは白河松平家の抱え工であったが、藩が勢州桑名移封後は、江戸に住して桑名藩工として作刀した。その居住地は麻布永坂という。弘化二年に備前介を受領している。宗次の作刀期間は文政の後半から明治初年の頃までにわたっており、その遺例も非常に多く、作風は備前伝が主であり、地鉄のよくつんだ綺麗な鍛えに、匂勝ちの丁子乱れを焼いて成功している。
刀剣用語に「天保打(てんぽううち)」という言葉があるが、これは新々刀期の中でも天保年間(1830-1844)に作刀された刀剣を意味する。 新々刀期と一口にいっても寛政年間から明治初年までは約170年の長きにわたっており、姿の変遷などによりそれをさらに分類するならば、@寛政・享和頃、A文化・文政頃、B天保・弘化・嘉永頃、C文久・元治・慶応頃、D明治以降の五つに分けることができる。その中でも、B天保・弘化・嘉永頃のものは身幅広く、長寸、元先の幅差が少なく、重ね厚く、反りやや深くつき、大鋒となり、最も豪壮な姿のものが多い。 また、新々刀期には山浦清麿・大慶直胤・左行秀・水心子正秀など多くの名工がいるが、天保頃に各々の壮年期や円熟期として活躍期間が交わっている(※ 下記一覧参照)。その為、一般に天保頃のものに出来の優れたものが多く、姿の豪壮さと相まって人気が高く、「天保打」と呼ばれ賞賛されている。 とりわけて、宗次は刀剣商のあいだでは「天保の宗次は黙って買え」と言われるほどに、天保年間に作刀されたものは出来が優れたものが多い。宗次の作刀期間は文政13年頃から明治4・5年頃までと思われ約43年間あるが、そのうち天保年間は僅かに14年間でその割合は32.6%となる。その約1/3の天保年間に、宗次の重要刀剣指定品数:44点のうち24点(※ 53回現在)が集中しており、半数を超える54.5%という他の刀工と比較して驚異的な数字となっている。
本作も天保14年の製作年紀があり、いわゆる「天保打」である。この刀は、身幅尋常にして、鋒もさまで延びず、太刀風の姿となり豪壮な姿ではないが、本作のような刀は旗本や藩の家老クラスでやや老齢となった大身が重いものを好まずに、やや手持ちの良いものを指料として誂えたのではないかと思量される。 また、宗次が「精良斎」と号した背景には、地鉄が極めて精良であることへの宗次自身の自負によるものとする説もあり、実際に、本作も文久・元治・慶応頃の変化に乏しい無地風な鍛えとは一味違った変化に富み、地沸が細かによくつくなど強い鍛えとなっている。且つ、刃文も完全な匂出来とはならず刃沸が細かにつき、刃中の働きも盛んとなり、優れた出来映えを見せている。 金具は赤銅の獅子図でまとめた拵で、柄糸は巻き直しているものの鞘の保存状態は良い。 |
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備考 : 新々刀 上々作。 最上研磨済。 |
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<新々刀著名刀工の天保年間年齢一覧>
大慶直胤 52-65 細川正義 45-58 長運斎綱俊 34-47 八代忠吉 30-43 月山貞吉 30-42 固山宗次 28-41 山浦真雄 27-40 次郎太郎直勝 26-39 勝村徳勝 22-35 左行秀 19-32 山浦清麿 18-31 栗原信秀 16-29
※ 年齢順、数え年 |