商品詳細

大刀剣市 カタログ掲載品

太刀 国弘作(左国弘) (古刀上々作)(良業物)

Tachi [Sa-Kunihiro]
第27回特別重要刀剣
NBTHK Tokubetsu Jyuyo No.27
No. F00304
光山押形所載
白鞘 金着太刀鎺
田野辺探山先生鞘書

刃長 : 64.3cm(2尺1寸2分半) 反り : 1.7cm(6分弱) 

元幅 : 2.8cm 先幅 : 1.9cm 元重 : 1.65cm 先重 : 1.4cm 

登録証:

佐賀県教育委員会
昭和29年7月8日
国: 筑前国 (福岡県-北西部)
時代: 南北朝時代 延文頃 1356-1360年頃

鑑定書:

(公)日本美術刀剣保存協会
特別重要刀剣指定書
令和4年4月20日
銘: 国弘作(左国弘)
形状 : 鎬造、庵棟、身幅尋常、元先の幅差さまで目立たず、、重ね頃合、腰反り深め、先にも反りやや加わり、中鋒延びる。
鍛 : 板目肌、処々杢交え、強く肌立ち、処々大肌を見せ、地沸微塵に厚くつき、地景頻りに入り、かな色やや黒みを帯びる。
刃文 : 総体に焼高く、大互の目・互の目・尖りごころの刃などを交え、華やかに乱れ、匂口深く、沸厚くつき、佩表物打ち辺激しく沸崩れ、頻りに湯走り・飛焼を見せ、僅かに金筋・砂流しかかり、匂口明るい。
帽子 : 直ぐに、突き上げごころに先尖り、さかんに掃きかけ、金筋入る。
彫物 : 表は棒樋を掻き通し、裏は棒樋を掻き流す。
茎 : 磨上、先切り、鑢目切り、目釘孔三中二埋、佩表茎先平地に第二目釘孔にかけて三字銘がある。

説明:

筑前国左文字は南北朝時代初期に出現し、従来の伝統的な九州物の作域から脱皮して、焼刃が明るく冴えて垢抜けした作風を確立したが、その一門の安吉・行弘・吉貞・国弘・弘行・弘安・貞吉らも師風をよく受け継ぎ大いに活躍している。

国弘は、吉弘の子とも、また一説に定行の子とも伝え、有銘作の現存は少ないが、僅かに短刀に正平十二年紀のものがあり、凡その活躍期を窺い知ることが出来る。彼の作風には、のたれを主調としたやや大模様の乱れ刃と、直刃に互の目交じりの両様があり、古来、本阿弥家では左一類と鑑して最もさかんに乱れたものに国弘の極めをあてる傾向がある。

本作は、鋒が延びて元先の幅差がさまで目立たず、腰反りがついて、腰元に踏張りがあり、先にもやや反りが加わるなど、磨上ながらも南北朝時代の太刀の一形態がよく保たれている。鍛えは板目が肌立ち、地沸が厚くつき、地景よく入り、かな色にやや黒みを帯びたもので、刃文は大互の目・互の目・尖りごころの刃など多種の刃を交えて華やかに乱れ、足・葉入り、匂口深く、沸が厚くつき、地景よく入り、刃文は大互の目・互の目・尖りごころの刃などに足・葉を交えて多様で華やかに乱れ、匂深で、沸も厚く、処々強く沸が叢づき、帽子は乱れ込み突き上げ、先が尖ってさかんに掃きかけるなど、左一類の中で最も大模様の乱れを表す同工の見どころが余すことなく示された一口である。殊に、沸づき変化を見せ、地刃の働きが豊富となった躍動感溢れた迫力に満ちた作品であり、湯走りや飛焼が目立ってかかっている点も注目される。「光山押形」に所載された一口で、現存稀有な国弘の太刀在銘の遺例として、同工のみならず左文字一類を研究する上でも極めて資料性が高い一品である。

備考:

古刀上々作

良業物

 

田野辺探山先生鞘書

「三字有銘而光山押形ニ所載シ其ノ当時ハ生茎ナルヲ以後ニ磨上ゲシ者也厚ク沸付ク板目ノ肌合ニ沸匂深厚ナル大乱ヲ焼キ湯走・飛焼加ワリテ躍動感漲リ突上ゲテ尖心ノ帽子ニ結ブナド同工ノ個性的特徴ヲ明示スル優品也確信シ得ル唯一ノ有銘太刀而同工極ハメノ軌範タルベキ好資料哉珍々重々

刃長弐尺壱寸二分余有之 時在庚子皐月 探山識(花押)」

 

第27回特別重要刀剣指定品(第回重要刀剣指定品)

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