商品詳細

短刀 法広(宮入法広)

丁卯正月日(無鑑査)

Tanto [Miyairi Norihiro]
無鑑査
Mukansa
No. A00576
白鞘 金着一鎺
(附) 共箱 - 宮入法広筆

刃長 : 29.0cm(9寸5分強) 反り : 0.1cm(ごく僅か) 

元幅 : 2.5cm 元重 : 0.55cm

 

登録証:

長野県教育委員会
昭和61年12月17日
国: 長野県
時代: 現代 昭和62年 1987年

鑑定書:

銘: 法広
丁卯正月日
形状 : 平造、三ツ棟、身幅やや広め、重ね厚く、ごく僅かに反りつく。
鍛 : 小板目肌つみ、処々わずかに柾がかり、地沸つき、地景入り、淡く映り風たつ。
刃文 : 片落ち互の目を主調に、小互の目交じり、足・逆足入り、匂深く、匂い本位にわずかに小沸つき、細かな砂流しかかり、匂口明るい。
帽子 : 直ぐ調に小丸に返り短く、先掃きかける。
彫物 : 表に腰樋、裏に護摩箸を肉彫する。
茎 : 生ぶ、先浅い刃上がり栗尻、鑢目筋違、目釘孔一。

説明:

 宮入法広刀匠は、昭和31年、人間国宝の宮入昭平(行平)氏の弟である宮入清平(清宗)氏の長男として長野県坂城町に生まれ、宮入昭平(行平)氏は伯父にあたる。昭和53年、國學院大學を卒業後、石川県の人間国宝:隅谷正峯氏に師事し、昭和58年、5年間の修行の後に独立し、平成7年まで坂城町において父:清平氏とともに作刀に専念する。平成8年、東御市(旧北御牧村)八重原に鍛刀道場を構える。

 昭和58年、「新作名刀展」に初出品後、特別賞8回・優秀賞4回を受賞する。平成7年、39歳という最年少で新作名刀「無鑑査」の認定を受け、東御市(旧北御牧村)無形文化財に指定される。平成23年、長野県無形文化財に指定される。
作風は、師:隅谷正峯氏は「隅谷丁子」と呼ばれる華麗な重花丁子乱れの備前伝を得意とし、宮入法広刀匠も師風をよく踏襲し、さらに近年は独自の研究による映りの再現にも成功している。正倉院に伝わる刀子の復元にも力を注ぎ、また、伊勢神宮式年遷宮式御神宝の直刀を製作するなど広く活躍する。

 平成22年には、平成8年以来14年ぶりに「正宗賞」を受賞する栄誉を得る。宮入法広刀匠は、前述の通りに以前より長年にわたり映りの再現について独自の研究を重ねきた。そして、重要文化財に指定される備前景光の作で、平造りの短刀に「白山権現」の彫物があり、刃文は景光の典型的な片落ち互の目を焼いたものがある。その短刀は、映りが一風変わっており、通常の乱れ映りは、片落ち互の目の焼き刃の上に刃文に沿って入るものであるが、これは映りを助成するところの暗帯が棟の方より入ったものである。宮入法広刀匠は、この備前景光の作を忠実に写すことに取り組み、難しい映りを再現することに成功し、その出品作で見事に「正宗賞」を受賞した。まさに、長年の弛まぬ研究の成果が結実し、今後の活躍がますます期待される。

 本作は、宮入法広刀匠が30歳の時の作で備前景光の片落ち互の目を写したものである。身幅がやや広く、寸が伸びた大振りな姿形に、地鉄は、小板目肌がよく錬れて僅かに柾がかり、地沸がついて、地景がよく入り、淡く映りが立つ。刃文は、備前景光の片落ち互の目をよく再現しており、さらに匂い口が明るく優れた出来映えを示している。

 

備考:

無鑑査

 

月山貞勝自筆の共箱が附帯している。

「昭和丁卯歳正月日 法広作(落款)」

 

指裏の鎺元に鍛え肌があります。

刀身に部分的に小さな点状の薄錆がみられます。

詳細写真1