商品詳細

脇指 藤原正次(花押)(水心子正次)
天保八丁酉年仲秋(新々刀上作)

Wakizashi [Suishinshi Masatsugu]
特別保存刀剣
NBTHK Tokubetsu Hozon Paper
No. A00537
白鞘 金着二重鎺

刃長 : 51.2cm(1尺6寸9分) 反り : 1.4cm(4分) 

元幅 : 3.3cm 先幅 : 3.0cm 元重 : 0.65cm 先重 : 0.5cm 

 

登録証:

兵庫県教育委員会
昭和34年2月17日
国: 武蔵国 (東京都・埼玉県・神奈川-東部)
時代: 江戸時代後期 天保8年 1837年

鑑定書:

(公)日本美術刀剣保存協会
特別保存刀剣鑑定書
平成31年2月25日
銘: 藤原正次(花押)
天保八丁酉年仲秋
形状 : 鎬造、庵棟、身幅広く、重ね尋常に、元幅の幅差少なく、反り浅くつき、大切先延びる。
鍛 : 板目つみ、処々大杢目交じり、渦巻き風となり、地沸厚くつき、地景太く入る。
刃文 : 互の目乱れ、小互の目・丁子風の刃など交じり乱れ、焼き高く華やかとなり、足入り、匂深く、刃中よく沸づき、金筋入り、砂流しさかんにかかり、飛焼き風の湯走りなど交え、明るい。
帽子 : のたれ込み小丸に返り、先掃きかける。
彫物 : (なし)
茎 : 生ぶ、先栗尻、鑢目筋違、目釘孔一。

説明:

水心子正次は、川部北司といい、大慶直胤に師事し、師の女婿となったと伝え、また一説には、二代:水心子正秀(白熊入道)の子ともいう。正次は水心子の号を用いており、このことからすれば、彼が実質的に川部家三代目を継承したことは明らかである。正次は下谷御徒町に住して作刀生活を送り、万延元年三月十一日に没したと伝える。作風は水心子流よりも銘字に至るまで全く直胤流であり、相州伝と備前伝が得意である。

この脇指は、身幅が広く、元先の幅差少なく、大鋒に結ぶ豪壮な体配に、板目がつみ、処々大杢目ごころが交じり、渦巻き肌風となり、地沸が厚くつき、地景が太く入った鍛えを呈している。刃文は互の目乱れ、小互の目・丁子風の刃など交じり乱れ、焼き高く華やかとなり、足入り、匂深く、刃中よく沸づき、金筋入り、砂流しさかんにかかり、飛焼き風の湯走りなど交え、明るいなどの出来口をあらわしている。彼が得意とする相伝備前の作柄で、流石に地刃がよく沸づいており、刃中の働きも豊富である。加えて地刃共に明るく冴えわたっている点も特筆される。古作のなかでも南北朝時代の名工:備前長義に私淑したものと推察され、焼きの高い互の目乱れを主調とした刃取りに、刃沸が強くつき、肌目が刃にからんで幾重にも折り重なり変化に富んだ働きをみせる相伝備前の傑作で、師、直胤の作風を髣髴とさせる一口で、銘字に至るまで、よく直胤流を受け継いでいる。水心子正次の本領が遺憾なく発揮された同作中の優品で、彼の相伝備前の代表的な一口といえる。

備考:

新々刀 上作

 

古研ぎの為、処々の刃先、指表の帽子の小鎬付近、棟の下部に薄錆びがみられます。

鞘の銃砲刀剣類登録証をセロテープで止めていた跡があります。

詳細写真1
詳細写真2
詳細写真3
詳細写真4
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