商品詳細

大小 刀 法廣製 平成元年皐月 (宮入法廣)

脇指 法廣製 平成元年皐月 (無鑑査)

Daisho [Miyairi Norihiro]
無鑑査
Mukansa
No. A00464
白鞘 金着二重鎺
(附) 刀箱

(大)刃長 : 78.0cm  (2尺5寸7分強) 反り : 3.0cm  (9分)

元幅 : 3.4cm 先幅 : 2.4cm 元重 : 0.7cm 先重 : 0.5cm

(小) 刃長 : 53.4cm  (1尺7寸6分) 反り : 1.2cm  (4分)

元幅 : 3.1cm 先幅 : 2.45cm 元重 : 0.65cm 先重 : 0.5cm

 

登録証:

(大) 長野県教育委員会
平成28年03月10日
(小) 長野県教育委員会
平成28年03月10日
国: 長野県
時代: 現代 平成元年 1989年

鑑定書:

銘: (大)法廣製
平成元年皐月
(小)法廣製
平成元年皐月
(大) :  
形状 : 鎬造、庵棟、身幅広く、重ね厚め、元先の幅差少なく、腰反り高くつき、中鋒詰まりごころの猪首風に結ぶ。
鍛 : 板目よく錬れてつみ、地沸厚くつき、地景入り、鉄冴える。
刃文 : 房の大きな丁子を主調に蛙子丁子・袋丁子、蕨手丁子などをみせ、互の目・小互の目・尖り刃など交じり、総体に鎬にかかるほどに焼きが高く華やかにして、足・葉よく入り、匂主調に小沸つき、刃境に金筋入り、砂がしかかり、少しく飛焼交え、匂口明るく冴える。
帽子 : 小さく乱れ込み、小丸に短く返り、先掃きかける。
彫物 : 表裏に棒樋を掻き流す。
茎 : 生ぶ、先刃上がり栗尻、鑢目筋違、目釘孔一。

(小) :


形状 : 鎬造、庵棟、身幅・重ね尋常に、元先の幅差少なく、反り浅くつき、中鋒となる。
鍛 : 板目よく錬れてつみ、地沸厚くつき、地景入り、鉄冴える。
刃文 : 丁子を主調に蛙子丁子・袋丁子、蕨手丁子などをみせ、互の目・小互の目など交じり、焼き高く華やかにして、足・葉よく入り、匂主調に小沸つき、金筋入り、砂がしかかり、少しく飛焼交え、匂口明るく冴える。
帽子 : 小さく乱れ込み、小丸に短く返り、先掃きかける。
彫物 : 表裏に棒樋を丸留する。
茎 : 生ぶ、先刃上がり栗尻、鑢目筋違、目釘孔一。

説明:

 宮入法廣刀匠は、昭和31年、人間国宝の宮入昭平(行平)氏の弟である宮入清平(清宗)氏の長男として長野県坂城町に生まれ、宮入昭平(行平)氏は伯父にあたる。昭和53年、國學院大學を卒業後、石川県の人間国宝:隅谷正峯氏に師事し、昭和58年、5年間の修行の後に独立し、平成7年まで坂城町において父:清平氏とともに作刀に専念する。平成8年、東御市(旧北御牧村)八重原に鍛刀道場を構える。

 昭和58年、「新作名刀展」に初出品後、特別賞8回・優秀賞4回を受賞する。平成7年、39歳という最年少で新作名刀「無鑑査」の認定を受け、東御市(旧北御牧村)無形文化財に指定される。平成23年、長野県無形文化財に指定される。
作風は、師:隅谷正峯氏は「隅谷丁子」と呼ばれる華麗な重花丁子乱れの備前伝を得意とし、宮入法廣刀匠も師風をよく踏襲し、さらに近年は独自の研究による映りの再現にも成功している。正倉院に伝わる刀子の復元にも力を注ぎ、また、伊勢神宮式年遷宮式御神宝の直刀を製作するなど広く活躍する。

 本作は、鎌倉中期の備前長船派の名工:光忠に私淑した意欲作で宮入刀匠が33歳の時に製作されたものである。大小のうち太刀は、身幅が広く、腰反りが高くつき、猪首鋒に結ぶ鎌倉中期の豪壮なる太刀姿は迫力があり、地鉄は、よく錬れて精美となる。刃文は、鎌倉中期の備前物を彷彿とさせる華やかな丁子乱れを焼き、焼きが高く、部分的には鎬地近いほどであり、それに飛焼を交えて華やかに乱れ、刃中には金筋・砂流しがよく働き、匂い口が明るく冴えた優れた出来映えを示している。一見すると一文字派かともみてとれるが、一文字であれば丁子が主とならなければならない。本作は丁子よりも互の目が主となるところををみても長船派、就中、光忠を意識したものであろう。地鉄はよく錬れて精美であり、刃文の構成にも蕨手丁子をみせ、刃境には太く輝く金筋をみせ、帽子も光忠によくみられる小さく乱れ込み、2つ小互の目を焼いている。

 なお、平成22年には、平成8年以来14年ぶりに「正宗賞」を受賞する栄誉を得る。宮入法廣刀匠は、前述の通りに以前より長年にわたり映りの再現について独自の研究を重ねきた。そして、重要文化財に指定される備前景光の作で、平造りの短刀に「白山権現」の彫物があり、刃文は景光の典型的な片落ち互の目を焼いたものがある。その短刀は、映りが一風変わっており、通常の乱れ映りは、片落ち互の目の焼き刃の上に刃文に沿って入るものであるが、これは映りを助成するところの暗帯が棟の方より入ったものである。宮入法廣刀匠は、この備前景光の作を忠実に写すことに取り組み、難しい映りを再現することに成功し、その出品作で見事に「正宗賞」を受賞した。まさに、長年の弛まぬ研究の成果が結実し、今後の活躍がますます期待される。

備考:

無鑑査

刀箱

「太刀 一口」「法廣製 備前一文字を道標とする意欲作 現代名刀展には幾多の特賞に輝く 平成元年五月吉祥日 三養鉄主人 大谷皎月誌(落款)」

「脇差 一口」「法廣製 備前一文字を道標とする意欲作 現代名刀展には幾多の特賞に輝く 皎月山人(落款)」

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