刀の真偽と価格評価について

 

■ 刀剣の真偽 ■

 

 刀剣には製作者の署名が残されているものと、製作時より署名がない、あるいは後世短くされたために銘がなくなってしまったものとの二つに大別され、銘のあるものは在銘、ないものは無銘と呼ばれています。在銘の刀の真偽については、今日の進歩した鑑定学と豊富な資料に基づき、公益財団法人日本美術刀剣保存協会などいくつかの機関が鑑定を実施していますので、その判定が真偽のよりどころとなっています。また無銘のものには、安土桃山時代以降、本阿弥家などの鑑定家が作者を推考して折紙を発行したり、作者や流派を特定して中心(茎とも)に金象嵌銘・朱銘・金粉銘などを施した例が見られます。これらの中には、尊重すべきものとそうでないと思われるものが混在しています。在銘の刀と同様、信用のおける鑑定機関の審査に出してみることをお勧めします。

 

 

■ 刀剣の価格評価 ■

 

 一般に「骨董品には価格があってないようなものだ」とよく言われます。そのような骨董・古美術品の中でも、刀剣の価格は比較的安定していると言えます。その理由は、前段で触れたように、権威ある機関の発行する指定書や鑑定書の格付けが、真偽のほかに価格判定の重要な目安となっているからです。真偽と美術的価値の程度、そしてそれらに比例する経済的価値が、添付されている鑑定書などによって大きく左右されるのが数十年来の刀剣価格評価の特徴であり、それによって刀剣の流通価格が成り立っているのが実情です。従って、このような価格評価の目安ともなる審査制度が行われていない他の骨董・古美術品に比べ、刀剣の価値判断は比較的容易であると言えるのです。

 

 「やさしいかたな」 全国刀剣商協同組合:発行より